北海道大学
認知症研究共同プロジェクト拠点Hokkaido University
Dementia Research Collaborative Project Center

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会議・ワークショップ

北海道大学認知症研究拠点 進捗報告会 報告書

盛会に終了いたしました。ご参加ありがとうございました。

日時 2025年10月10日 14:00~17:15
場所 北海道大学医学部臨床講義棟2F 臨床大講堂
参加者 会場参加 52名
オンライン参加 21名

内容

冒頭の挨拶では、寳金清博総長より、認知症基本法の施行、産学連携の進展、AI/DX関連の新規AMED事業認定など、最近の情勢を踏まえた話題が紹介され、今後の研究の進展に対する期待が述べられた。

オープニングリマークとして、北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野神経内科学教室の矢部一郎教授より、認知症を取り巻く社会の現状と研究共同プロジェクト全体の進捗概要について報告がなされた。

セッション1の座長は医学研究院の工藤與亮教授が務めた。先端生命科学研究院/産学・地域協同推進機構の湯山耕平特任准教授からは、細胞外小胞を用いたアルツハイマー病の早期検出および予防法の開発について報告があった。医学研究院脳神経外科学教室の川堀真人講師からは、間葉系幹細胞由来エクソソームの経鼻的投与による認知機能障害改善効果について発表がなされた。北海道大学病院歯科放射線科の亀田浩之講師からは、23Naや17Oなど多核種MRIによる認知症診療への応用可能性について報告があり、多核種解析により病態理解や診断精度向上が期待される内容であった。北海道大学病院脳神経内科の野村太一特任助教からは、神経変性疾患におけるBSN機能解析の最新成果について報告がなされた。遺伝子病制御研究所の村上正晃教授は、「ニューロモジュレーションによる病態制御の試み」と題して講演を行い、疼痛刺激が神経炎症のトリガーとなる一方で、疼痛を軽減させることで炎症を抑制できること、さらに非侵襲的迷走神経刺激による微小炎症治療の可能性について示した。

セッション2の座長は医学研究院の加藤隆弘教授が務めた。保健科学研究院の大槻美佳准教授からは、認知症の早期診断と地域共生に関する取り組みについて報告があり、言語機能に依存しない視覚性再認検査による認知機能評価や、高齢者と若年者の交流活動を通じた地域共生の実践など、予防と共生の両面で期待の持てる内容であった。精神医学教室の中村悠一助教からは、「認知症診断における脳波の活かし方」と題して発表があり、古くから臨床で用いられてきた脳波を新たな視点から再評価し、認知症診療への応用可能性が示された。北海道大学病院軽度認知障害センターの岩田育子講師からは、軽度認知障害患者における握力と認知機能の関連について報告がなされ、認知症研究共同プロジェクト拠点を活用した臨床研究の成果として今後の展開が期待される内容であった。北海道大学病院放射線診断科の池辺洋平助教からは、抗Aβ抗体認知症MRI画像レジストリ研究について発表があり、抗体医薬の承認に伴う画像データの蓄積をもとに、撮像法の標準化やAIによる診断支援・教育応用が期待される内容であった。歯学研究院の渡邊裕教授からは、北海道大学病院軽度認知障害センターにおける臨床研究データベース構築について報告があり、前向きデータが着実に蓄積しており、今後の高精度解析につながる基盤整備の進展が示された。保健科学研究院の大橋和貴助教からは、北海道国保レセプトデータを用いた認知症患者の医療・介護費分析について発表があり、オホーツク・道東地域では費用が比較的低く、医療アクセスの影響が示唆される結果が報告された。

最後に、瀬戸口剛理事よりクロージングリマークがあり、本講演会は盛会裏に終了した。

(文責 白井慎一)

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