北海道大学
認知症研究共同プロジェクト拠点Hokkaido University
Dementia Research Collaborative Project Center

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会議・ワークショップ

認知症研究共同プロジェクト拠点進捗報告会 開催報告

盛会に終了いたしました。ご参加ありがとうございました。

開催日時 2026年7月31日(金)14時~16時50分
会場 北海道大学医学部百年記念館 大会議室
参加者 現地参加 41名
Web参加 20名

内容

 冒頭の挨拶では、寳金清博総長より、認知症研究を国策として推進することの重要性や、北海道大学における認知症研究共同プロジェクト拠点の位置づけについて紹介があった。北海道大学病院が認知症疾患医療センターに指定されたことや、AMED事業を通じたデータ駆動型研究および医療AI研究の進展にも触れ、基礎研究から臨床応用までを一体的に推進する本拠点の今後の発展に対する期待が述べられた。

 オープニングリマークスとして、北海道大学大学院医学研究院神経内科学教室の矢部一郎教授より、認知症を取り巻く最近の社会的・医学的動向と、認知症研究共同プロジェクト全体の進捗について報告がなされた。抗アミロイドβ抗体薬の臨床導入をはじめとする診療環境の変化に加え、認知症予防に関する新たな研究成果などが紹介され、認知症研究における多分野連携の重要性が示された。

 セッション1の座長は、医学研究院画像診断学教室の工藤與亮教授が務めた。
 先端生命科学研究院/産学・地域協働推進機構の湯山耕平特任准教授からは、細胞外小胞を利用したアルツハイマー病の早期検出および予防法の研究について報告があった。血中の細胞外小胞を高感度に測定するデジタル計測技術や、GM1を含むアミロイドβ関連細胞外小胞を用いた病態判別法が紹介された。また、細胞外小胞に含まれる糖鎖と病態形成との関連や、セラミドを利用した予防的介入についても報告され、診断バイオマーカーと予防法の双方への発展が期待される内容であった。
 北海道大学病院放射線診断科の池辺洋平特任助教からは、抗アミロイドβ抗体薬に関連して生じるARIAのMRI画像評価について、複数読影者による比較検討の結果が報告された。微小出血などの検出におけるSWIとT2*強調画像の差や、読影者間における評価のばらつきが示され、抗体薬治療を安全かつ適切に実施するためには、画像撮像法および評価方法の標準化が重要であることが示された。
 医学研究院画像診断学教室の周思密大学院生からは、χ-separationを用いた脳内鉄とミエリンの分離評価について報告があった。健常者を対象とした解析により、加齢に伴う脳内鉄蓄積とミエリン変化が部位ごとに異なるパターンを示すことが明らかにされた。鉄沈着と脱髄性変化を分離して評価する本手法は、認知症の病態理解や早期診断への応用が期待される内容であった。
 北海道大学病院脳神経内科の野村太一特任助教からは、シナプス足場蛋白Bassoonに着目した認知症研究について報告がなされた。家族性神経変性疾患症例におけるBSN遺伝子変異の同定、東アジアの患者集団を対象とした遺伝学的解析、ノックインマウスを用いた病態解析などが紹介された。Bassoonの異常がミトコンドリア機能やシナプス終末の障害、異常タンパク質蓄積に関与する可能性が示され、今後の創薬標的およびバイオマーカーとしての発展が期待された。
 遺伝子病制御研究所分子神経免疫学の田中宏樹特任講師からは、「L-DOPAの知られざる第二の顔」と題した発表があった。神経変性疾患における免疫系、特にCD4陽性T細胞の関与について、パーキンソン病モデルなどを用いた研究成果が紹介された。また、レボドパがドーパミン補充作用に加えて免疫応答を調節する可能性や、神経炎症を標的とした新たな治療法の可能性が示された。

 休憩を挟み、セッション2の座長は医学研究院精神医学教室の加藤隆弘教授が務めた。保健科学研究院の大槻美佳准教授からは、非定型認知症性疾患の診断と地域共生の試みについて、その後の進捗が報告された。言語障害を呈する患者では従来の言語依存性記憶検査による評価が困難となることから、言語機能に依存しない視覚性再認検査の開発と検証が進められていることが紹介された。また、原発性進行性失語などの評価に用いる言語検査の日本語版整備や、高齢者と地域住民の交流を促進する「中庭プロジェクト」の展開についても報告され、診断技術の向上と地域共生の両面における成果が示された。
 北海道大学病院軽度認知障害センターの岩田育子講師からは、日本人MCIコホートを対象としたアルツハイマー病血漿バイオマーカーの検討について報告があった。血漿p-tau217などのバイオマーカーとアミロイドPET所見との関連が解析され、血液検査によってアミロイド病理を高い精度で推定できる可能性が示された。軽度認知障害センターに蓄積された臨床情報や画像・検体データを活用した研究として、今後の診断効率化や治療対象者選定への応用が期待された。
 医学研究院精神医学教室の中村悠一助教からは、もの忘れ検査入院における認知症評価尺度とアミロイドβ陽性との関連について報告がなされた。入院患者の認知機能評価データを用いた多変量解析により、認知機能検査の一部の下位項目がアミロイドβ陽性と関連する可能性が示された。既存の認知機能検査を組み合わせることにより、アミロイド病理を効率的に予測できる可能性について議論がなされた。
 保健科学研究院の岩田邦弘特任講師からは、認知症および股関節骨折を対象とした北海道全域の国保レセプトデータによる医療・介護費分析について発表があった。認知症患者に股関節骨折が併存することにより、医療費のみならず介護サービスの利用および介護費が大きく増加することが示された。認知症患者における転倒・骨折予防の重要性が改めて示されるとともに、今後は薬剤処方や生活習慣などを含めた要因解析への展開が期待される内容であった。
 保健科学研究院の岡山幸世大学院生からは、認知症患者にみられる不穏言動への対応を支援する言語モデルの構築について報告がなされた。認知症の行動・心理症状への適切な対応を提示することを目的として、事例データを用いた言語モデルの学習と評価が行われた。現段階では改善の程度に限界がみられたものの、介護者や医療従事者を支援するAIシステムとして、今後の学習データの拡充や精度向上が期待される内容であった。

 最後に、瀬戸口剛理事よりクロージングリマークスがあり、認知症研究における基礎・臨床研究の連携と、多部局にまたがる共同研究の重要性が改めて強調された。本報告会は盛会裏に終了した。
(文責 白井慎一)


北海道大学認知症研究拠点 進捗報告会 報告書

盛会に終了いたしました。ご参加ありがとうございました。

開催日時 2025年10月10日(金)14:00~17:15
場所 北海道大学医学部臨床講義棟2F 臨床大講堂
参加者 会場参加 52名
オンライン参加 21名

内容

冒頭の挨拶では、寳金清博総長より、認知症基本法の施行、産学連携の進展、AI/DX関連の新規AMED事業認定など、最近の情勢を踏まえた話題が紹介され、今後の研究の進展に対する期待が述べられた。

オープニングリマークとして、北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野神経内科学教室の矢部一郎教授より、認知症を取り巻く社会の現状と研究共同プロジェクト全体の進捗概要について報告がなされた。

セッション1の座長は医学研究院の工藤與亮教授が務めた。先端生命科学研究院/産学・地域協同推進機構の湯山耕平特任准教授からは、細胞外小胞を用いたアルツハイマー病の早期検出および予防法の開発について報告があった。医学研究院脳神経外科学教室の川堀真人講師からは、間葉系幹細胞由来エクソソームの経鼻的投与による認知機能障害改善効果について発表がなされた。北海道大学病院歯科放射線科の亀田浩之講師からは、23Naや17Oなど多核種MRIによる認知症診療への応用可能性について報告があり、多核種解析により病態理解や診断精度向上が期待される内容であった。北海道大学病院脳神経内科の野村太一特任助教からは、神経変性疾患におけるBSN機能解析の最新成果について報告がなされた。遺伝子病制御研究所の村上正晃教授は、「ニューロモジュレーションによる病態制御の試み」と題して講演を行い、疼痛刺激が神経炎症のトリガーとなる一方で、疼痛を軽減させることで炎症を抑制できること、さらに非侵襲的迷走神経刺激による微小炎症治療の可能性について示した。

セッション2の座長は医学研究院の加藤隆弘教授が務めた。保健科学研究院の大槻美佳准教授からは、認知症の早期診断と地域共生に関する取り組みについて報告があり、言語機能に依存しない視覚性再認検査による認知機能評価や、高齢者と若年者の交流活動を通じた地域共生の実践など、予防と共生の両面で期待の持てる内容であった。精神医学教室の中村悠一助教からは、「認知症診断における脳波の活かし方」と題して発表があり、古くから臨床で用いられてきた脳波を新たな視点から再評価し、認知症診療への応用可能性が示された。北海道大学病院軽度認知障害センターの岩田育子講師からは、軽度認知障害患者における握力と認知機能の関連について報告がなされ、認知症研究共同プロジェクト拠点を活用した臨床研究の成果として今後の展開が期待される内容であった。北海道大学病院放射線診断科の池辺洋平助教からは、抗Aβ抗体認知症MRI画像レジストリ研究について発表があり、抗体医薬の承認に伴う画像データの蓄積をもとに、撮像法の標準化やAIによる診断支援・教育応用が期待される内容であった。歯学研究院の渡邊裕教授からは、北海道大学病院軽度認知障害センターにおける臨床研究データベース構築について報告があり、前向きデータが着実に蓄積しており、今後の高精度解析につながる基盤整備の進展が示された。保健科学研究院の大橋和貴助教からは、北海道国保レセプトデータを用いた認知症患者の医療・介護費分析について発表があり、オホーツク・道東地域では費用が比較的低く、医療アクセスの影響が示唆される結果が報告された。

最後に、瀬戸口剛理事よりクロージングリマークがあり、本講演会は盛会裏に終了した。

(文責 白井慎一)

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