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多系統萎縮症について

多系統萎縮症(英語でMultiple System Atrophyといい、MSAと略されます)はふらつき(運動失調)、動きの遅さや手足の固さ(パーキンソン症状)、立ちくらみや尿の出づらさ(自律神経症状)が中高年に出現し、徐々に進行する神経の難病です。

病気のメカニズムはまだ十分に解明されておらず、今のところ根本的な治療はまだわかっていません。最近になり、病気の研究が進んできたことにより新たな治療方法の可能性が期待されてきています。日本も多系統萎縮症に関する多くの研究が発表されており、世界的にみても研究が進んでいます。

運動失調とは

筋力の低下や麻痺(まひ)がないにも関わらず、筋肉に力をいれるバランスが崩れることにより複雑な運動ができなくなる症状です。体幹に出現した場合は起立・歩行でのふらつきが出現し、手足に出現した場合はふるえやもののつかみづらさなどが出現します。多系統萎縮症では小脳という場所が障害されることにより運動失調が出現します。

パーキンソン症状とは

パーキンソン病という病気でよくみられる振戦(ふるえ)、筋強剛(手足のかたさ)、無動(動きの遅さ)、姿勢反射障害(バランスの悪さ)とよばれる症状のことを総称してパーキンソン症状(パーキンソニズム)とよびます。多系統萎縮症はパーキンソン病とは別の病気ですが、パーキンソン症状が出現することがあります。

自律神経症状とは

血圧や排尿機能の障害によって出る症状です。血圧に関しては、自律神経が障害されると横になっている状態から立ち上がるときに急激に血圧が下がり立ちくらみや失神を起こします。排尿に関しては、尿意を我慢したり排尿したりする調節ができなくなるため、排尿しようと思ってもうまくだせないなどの症状が出現します。

 

全国及び北海道の患者数に関する情報

北海道の多系統萎縮症は全国の約5%

日本では国の難病対策として、多系統萎縮症の患者さんには特定医療費(指定難病)受給者証が交付されています。難病情報センターでは、受給者証の統計をインターネットで公表しています(https://www.nanbyou.or.jp/)。難病情報センター統計によると、平成27年度末の多系統萎縮症の受給者証所持者数は、11,712名でした。そのうち、北海道の所持者数は約5%(636名)です。北海道の人口は約540万人(平成27年)であることを考えると、極めて稀な病気であることがわかります。

難病情報センターの統計では、全国の年齢区分毎の受給者証所持者数も公表しています。それによると、60~69歳の所持者数が約4,200名と最も多くなっています。現在の日本人口は、団塊の世代と呼ばれる70歳前後の人口が比較的大きな割合を占めていますので、それと重なる年齢層が多いともいえます。しかし、60歳未満の所持者数も1,500人以上いますので、決して高齢者だけの病気というわけではありません。

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